外国人研修・技能実習制度は、国際貢献を目的として開発途上国の外国人を一定期間受入れ、OJTを通じて技能移転する制度です。
平成5年に創設された本制度ですが、平成22年7月1日の制度改正に伴い、外国人研修生が従事できる活動が限定されるとともに、在留資格「技能実習」が創設されました。
今回は外国人研修生と技能実習生の違いについてご紹介します。
外国人研修生とは
外国人研修生とは、在留資格「研修」で在留する者を指します。
かつての外国人研修・技能実習制度(以降、「研修制度」と呼ぶ)では、1年目は研修生(座学及び実務研修)、2~3年目は技能実習生(雇用関係の下での実習、在留資格は「特定活動」)として働く仕組みでした。
しかし、一部の受入れ機関が研修生・技能実習生を低賃金労働者として扱うなどの問題が生じ、制度が見直されました。
技能実習生とは
新しい研修・技能実習制度(以降、「技能実習制度」と呼ぶ)では、外国人を1年目から技能実習生(雇用関係の下での実習、在留資格は「技能実習」)として受入れることが特徴です。
海外で1ヶ月以上の講習を行なった場合、入国後約1ヶ月間の講習(座学)を修了した時点で、労働関係法令が適用されます。
技能実習制度の主な特徴として、以下の3つを挙げることができます。
「技能実習1号」「技能実習2号」の創設
新たな在留資格として、「技能実習1号」と「技能実習2号」が設けられました。
技能実習1号が「講習による知識修得活動」及び「雇用契約に基づく技能等修得活動」と定められているのに対し、 技能実習2号は、「技能実習1号の活動に従事して技能等を修得した者が、雇用契約に基づき修得した技能等を要する業務に従事する活動」です。
団体監理型における監理団体と実習実施機関の役割
技能実習は受入れ形態により、企業単独型と団体監理型の2つがあります。
団体監理型については、監理団体と企業(実習実施機関)がそれぞれの役割を担います。
監理団体の役割は、技能実習1号及び技能実習2号による期間中、技能実習が実習実施機関で適正に実施されているかを確認・指導することです。
一方、技能実習生に技能などを修得させる立場にある実習実施機関は、 技能実習指導員を配置して技能実習計画に従って技能実習を実施するとともに、 生活指導員を配置して技能実習生の生活管理にも細かく配慮することなどが求められます。
団体監理型の技能実習生受入れ要件
団体監理型で技能実習生を受入れる場合、以下の6要件を満たすことが必要です。
1. 修得しようとする技能が単純作業でないこと
2. 18歳以上で、帰国後に日本で修得した技能などを生かせる業務に就く予定があること
3. 母国で修得することが困難である技能等を修得するものであること
4. 本国の国や地方公共団体などから推薦を受けていること
5. 日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験などを有すること
6. 技能実習生や実習生の家族が、送り出し機関や監理団体、実習実施機関などから保証金などを徴収されないこと。
また、労働契約不履行に係る違約金を定める契約等が締結されていないこと
外国人技能実習制度の現状
外国人研修制度から技能実習制度に移行する前は、研修生と実習生の割合が半々でした。
厚生労働省の資料によると、例えば、平成19年は研修生88,086人に対して、技能実習生が89,033人でした。
しかし、平成27年末の技能実習生の数は192,655人であるのに対して、研修生は1,593人と数に大きな差があります。
なお、現在も研修制度は続いています。
ただし、外国人研修生が従事できる活動は実務研修を伴わない非実務研修、国や地方公共団体などにより主として運営される実務研修に限定されます。
したがって、企業が実務研修を実施する場合は、技能実習生として受け入れなくてはなりません。
おわりに
今回は以前の研修制度と現在の実習制度を比較して、外国人研修生と実習生の違いについてご紹介しました。
実習制度の期間は3年ですが、実習生と受入れ機関の双方から、実習期間の延長を望む声も強く聞かれます。
実習期間を5年とする法案も提出されており、今後の動向が注目されます。