技能実習生受入れ企業に対しての労基署の指導送検等の状況が発表されました

技能実習生を受け入れているいないに関わらず、雇用している以上は関係する労働関係法令。労働基準監督署からの昨年(令和4年)度の監督指導についてデータが発表されました。

https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001126816.pdf

これによると主な違反内容として、①使用する機械等の安全基準(23.7%)、②割増賃金の支払(16.9%) 、③健康診断結果についての医師等からの意見聴取(16.1%)の順に多かった、とされています。

主な業種指導事業場数違反事業場数主な違反
機械・金属3,0002,023
(67.4%)
安全基準 857(28.6%)
衛生基準 633(21.1%)
労働時間 439(14.6%)
食料品製造1,4791,072
(72.5%)
安全基準 513(34.7%)
労働時間 280(18.9%)
医師等からの意見聴取 209(14.1%)
繊維・衣服466318
(68.2%)
年次有給休暇 97(20.8%)
割増賃金の支払 82(17.6%)
医師等からの意見聴取 77(16.5%)
建設1,8531,542
(83.2%)
割増賃金の支払 521(28.1%)
年次有給休暇 404(21.8%)
医師等からの意見聴取 375(20.2%)
農業249186
(74.7%)
賃金の支払 65(26.1%)
年次有給休暇 45(18.1%)
安全基準 39(15.7%)
<参考>
全業種
9,8297,247
(73.7%)
安全基準 2,326(23.7%)
割増賃金の支払 1,666(16.9%)
医師等からの意見聴取 1,583(16.1%)

長時間労働:36協定で定める延長時間を超え、1か月当たり100時間以上の違法な時間外・休日労働を行わせ、最も長い者で月110時間を超える時間外・休日労働を行わせていたことが認められた。

賃金支払い:朝礼時間分を賃金に入れていなかった。終業後の作業分を支払っていなかった。

安全衛生:機械に異物が混入し、その掃除を行う際に機械の運転を停止していなかったことが認められた。

技能講習:つり上げ荷重が1トン以上のクレーン作業で資格を有していない技能実習生に玉掛け作業を行わせていたことが認められた。

賃金支払い:30分未満の端数時間がある場合には、切り捨てによって割増賃金の計算をしていた。

作業主任:プレス機械作業主任者に切替えキーを保管させていなかった。安全装置を無効にしていた。

意外に知られていないのが、「健康診断結果についての医師等からの意見聴取」です。これは日本人に対しても行っていない会社が多いかもしれません。「事業者は、〝定期健康診断〟〝特殊健康診断〟等の結果『異常の所見があると診断された労働者』(※)については、健診後3 か月以内に医師又は歯科医師の意見を聴かなければなりません。(労働安全衛生法第66 条の4)」と定められていますので、健康診断で所見なし以外で問題があった場合は放置せずに、産業医または、50人未満の会社では地域の産業保健センター等に相談するようにしてください。医師の意見聴取について→https://jsite.mhlw.go.jp/oita-roudoukyoku/content/contents/001242882.pdf

なお、現在は、技能実習機構と労働基準監督署の間で相互通報制度がありますので、どちらかで判明すると連絡が入る仕組みとなっています。違反しないよう、確実な運用をお願いいたします。

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